Red Hot Chili Peppers / By The Way
Warner Bros. Records 936248140
(輸入盤)
( 2002/07/06 ALBUM )
いろんなところで、いろんな人に向けて、声を大にして言ってるんだけどさ、ほんと素晴らしいんだよ、RED HOT CHILLI PEPPERS(レッチリ)の新曲、『BY THE WAY』は。まじで。やばいよ。あ、NEW ALBUMがさ、7/11に出るんだけどさ、それを待つのももちろんいいんだけどさ、たまには輸入盤のSingleなんかに手を伸ばしてみてさ、聴いてみなって。¥1000で買えるんだから。たった、¥1000でだよ。それで、すんげーいい思い出来るんだから。損はさせないよ。まじで。
俺さ、最近さ、「Fun & Fine & Funky!!」っていうのにさ、すげー注目してるというかさ、今こそこのフィーリング、大事だろう?って思ってて。で、ポップミュージックでそれを求めるとするとさ、「如何にロックンロールにその要素を盛り込むことが出来るのか?」っていうのにさ、興味を惹かれていてね。うん。「ロックンロールに」っつーのが大事なんだよね。他のジャンルだとちょっと違うんだ。ロックンロールっていうのはさ、いろんな歴史を重ねて行って来てるけど、結局さ、ルーツはブルースとかの抑圧された世界から生まれた音楽に辿り着いてしまうんだ。ま、他のジャンルの音楽も元を辿ればそうなんだけど。でも、他のジャンルは、その抑圧から、ある種、逃避していく手段として栄枯盛衰して今まで来ているんだよね。ま、一概には言えないけど。でも、ロックンロールって、どうしてもその抑圧(ブルーズ)にもがき苦しんでいる場所から発せられるニヒリスティックな思想からの音楽というところから抜け切れずに今まで来ているんだよね。ま、それが、ロックンロールなんだろうけれどもね。だから好きでもあり、それは決して消え去らないものであるからこそロックンロールとして存在しているってわかってるんだけどさ。でもね、もうさ、いいと思うんだ。そういうの。うん。
今日の今日までさ、ロックンロールがさ、誕生してからさ、いろんな音が発せられて来たけど、結局自滅して行く歴史を何度も何度も繰り替えしてるんだよ。それは結局、歴史は繰り返すじゃないけど、その時代時代にはびこっている社会状況が最悪に混乱している時に、ロックンロールはその時代時代の音とともに形を変えて現れ、爆発し、そして、時代が流れて行くのとともに、また地下の奥深くに潜み込んでしまうという繰り返しなんだよね。うん。「それがロックンロールなんだよ!」って結論付けてしまえばそれで終わりなんだけどさ。でも、もう、違うと思うんだ。だって、僕達は、社会的にも個人的にも絶対にブルーズからは抜け切ることができないんだよ?梅雨を体感しないと夏は来ないんだよ?自分の肌の色は変えられないんだよ?死の悲しみを知ってこそ生の意味を知るんだよ?わかる?黒と白は常に存在しているんだ。明と暗、光と影は決して離れないんだ。白と明と光りだけの世界なんて現実には存在しないんだ。それを知ってこそ、僕らは、歩むんだよ。愛という何事にも変え難い素晴らしきものを掴み取ってね。
今までは、それを僕らに気づかせる介在としてロックンロ−ルは存在していた。黒、暗、影を思いっきり爆音で鳴らし続けながら‥‥。でも、もうそれも変わりつつある。変わる必要がある。いや、僕らが今までのロックンロールを必要としなくなって来ているはずだ。うん。いくら、目の前が暗くとも。いらなくなって来ている。うん。
とにかく、レッチリの『BY THE WAY』を聴いて下さい。胸がいたむほどのブルーズを抱きしめながらも、決して「Fun & Fine & Funky!!」なフィーリングを忘れずに、愛という名の元に結束しながら、転がり続ける彼らの新曲を聴いてください。(そして数日後‥‥)
そうそう、今日、買って来たよ。レッチリのアルバム。切ないねぇ〜。もっと「Fun & Fine & Funky!!」な要素が入っているのかと思ったけど、予想以上に切ないねぇ〜。でも、すんごいよ。素晴らしいよ。物足りないなんて言えないね。すげぇ完成度が高い。メロディーが泳いでる。フリーのベースがバッキバキに鳴る代わりに、メロディーが泳ぎ、アルバム全般を支配している。うん。ちょっと暴言を吐いてしまうと、あのGREEN DAYが、「ロック」せずに「ロール」していく道を選んだが故に「Warning」という素晴らしいアルバムを創り出した感覚と同じ匂いがする。そして、アルバムの完成度からすると、ストーンズの「LET IT BREED」的な感覚と同じ匂いがする。これはあくまでも俺の独断と偏見だけど、どうであれ、レッチリはまだおわらない道、僕らが旅に出る理由を掴み取ることが出来たんだ!という証しをこのニューアルバムで宣言することが出来ている、ちゅーことでもう満足で、大感激なんだ。俺は。そうだ、weezerのニューアルバムにもそのヴァイブを感じることが出来る。うん。いいね。まだまだ続くよ、ロックンロールは。
※「保坂壮彦日記」2002年7月3日(水)& 9日(火)から抜粋しました。