3 グッデイ

  ほんとにしょーもない100式のギャグから始まる「博愛博」でも演奏されていた新曲。ハイ・ト−ンでありながらも力強い中村一義のかけ声が高らかに響き渡り、イントロの時点でもう、沸点へ。腰に響くグルーヴィーなリズムが全編に支配するこの曲はまさに100式な楽曲。バンドという生身の武器を得ることが出来なければ決して生まれ落ちることがなかったであろう100式流ロックンロール。”突き抜けたいのだ。ドーンといくのだ。これでいいのだ!”と力強く唄われるサビの部分を抜き取ったってその100式との出会いの影響は計り知れないもの。決してバカボンにはなれない彼が、さらにバカボンに近付こうとしている。つーか、なりきっている。
 ”宇宙に会った。宇宙になるんだ。宇宙は去った。宇宙になった、ヘイヘイ。”という曲の最後のフレ−ズを抜き取ったってそうなのだ。人類が思考というものでは到底及ばない次元の流れを、言葉という人間しか使いこなすことが出来ない限界のある道具で表現しながらも、”ヘイヘイ”というなんともな語感でいなして曲を閉めてしまうというところに、「はじめ人間ギャートルズ」のような馬鹿漫画の世界観が見え隠れする。そうだ、これでいいのだ。馬鹿でいいのだ、僕らは。だって、僕らは考えないようにしたって、思考という頭のメカニズムからは逃げ切れないのだから。こんぐらい力強く身体張って馬鹿で行くのもいいのだ!
 ”両目を強く瞑ったまま、両手でまぶた押すと星、踊る。”というフレーズが、名曲『ここにいる』の”小さな灯り消して、真っ暗にしてみる。すると、解るよ。「僕は、今、ここにいる。」”とリンクするようだと言ってしまうのは暴言だろうか。
 『グッデイ』は、まさに、風林火山のごとし。力強く行くがよろし。強引でもいいから、さ。これでいいのだ!!

 

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