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「いつだってそうさ」がフェード・アウトする頃から波のざわめきが聴こえてくる。そして、その波が終わらぬうちに流れ出してくる音楽は、なんともグル−ヴィーでインストゥルメントなR&B。まるでマーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー(イントロ・ジャム)』だ。アヴァランチーズの『シンス・アイ・レフト・ユー』だ。そして、それは、夏の海岸で海を眺めながら壊れかけのラジオから流れ出すグッド・ヴァイヴレーションなスイート・ミュージックのようだ。ちょっと驚愕。それは中村一義が得意のファルセットで”ダーリン、イン・マイ・ラヴ”とでも唄っているように聴こえてしまうほどというところも含めてかなり吃驚。
「♪」という記号を見ただけでわくわくするような感覚を、夏が来る前に抱く胸の高鳴りと重ね合わせてもいいのかも知れない。そういう風に思えればいいのかも。このアルバム制作時前から中村一義が掲げていたテーマ”FUN”というものに通じるなんらかの道標的なものと思ってもらえればいいのかも。次に鳴り響くべく壮大なラヴ・ソングへのオマージュへの期待を大きく膨らませながら‥‥。