9 セブンスター
シングル・ヴァージョンとは異なる浮遊するイントロの音塊が、前曲『ラッタッタ』の日常の堕落感をひとまめに掻き集める。そして、ポリスの『見つめていたい』を彷佛とさせる8ビートが通低音として鳴りはじめる。
100式というメンバー5人と出会い、ひとりひとりを知り、6つの星として絆を深めながらも、いつかはまた別れる時が来るであろうという儚さへの想い。今まで、「個:中村一義」として活動してきた彼にとって、音楽を分かち合い、笑顔を分かち合う同志が出来たことは素晴らしい出来事であったが、ただそれに対して諸手を上げて本質を忘れて馬鹿騒ぎするだけでは済まされないという儚なさを、消えて行く夜空の星のかけらをモチーフにして切なく唄い上げる素晴らしい名曲。”闇ん中の光は、ホラ、強い。また朝に散らばって行くように‥‥。”。そして、切実に、真摯に、僕らに唄いかける。”心は本当でいて。”と。”心は本当でいたい‥‥、”と唄う‥‥。
100式と僕ら一人一人の心の光を合わせてセブンスターになるんだということが『セブンスター』たる所以だと彼は言う。それは、中村一義の祖父、二郎さんが昔吸っていたという煙草の銘柄、『セブンスター』に繋がるところである。そう、博愛というものの大切さを中村一義に教えてくれた祖父、二郎さん。その博愛へ辿り着くということが、それを抱き続けることが本当の心だということだ。光だって儚いもので、夢だって、愛だって儚いもの。そして、博愛だってなおさら儚いものだ。でも、心は本当でいて欲しいと彼は言う。唯心論だ。モノじゃないんだ。心なんだ。心が大事なんだ。でも、心の中身はいたくてもみたくても僕らの目の前には表れない。唯物論だ。だから儚く感じる。そして、ロマンチックと称されていなされてしまう。でも、本当は心が大事なんだよと中村一義は唄い上げる。ロマンチックがリアリティになり得る時まで、彼はこの曲をこよなく愛し、唄い続けるだろう。そして、彼は大胆にも、僕らに向けて、”約束だもんな”と契りを交わす。それは博愛への契りなのかも知れない‥‥。祖父への憶い‥‥。だから、彼は、この曲を唄い上げる度に涙ぐむのだ‥‥。
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの『エヴリバディ・イズ・ア・スター』を日々愛し聴き続けた結果生まれ落ちた、星3部作のシングル第2弾。
全部わかる?全部そうかな?